国立病院、都立病院などで形成外科医として経験を積み、2020年より自由が丘クリニックで形成外科部長として勤務している古山恵理医師。
約3年間アメリカで生活、現地の美容医療についても学び、2024年4月帰国し診療再開。日本形成外科学会専門医、日本抗加齢医学会専門医。
今回は年齢とともに起きる体型変化についてお話ししていきます。
10代からの世代別の一般的な体型の変化をイメージしてみてください。30歳を過ぎると始まるその変化の要因は、皮膚のハリがなくなるだけでなく、筋肉や骨が徐々に失われ、皮下脂肪や内臓脂肪が相対的に増えることなどが挙げられます。
女性の体型変化に関して、日本の女性下着メーカー・ワコールの興味深い報告があります。
二百人以上の女性の体型変化を約30年にわたって追跡調査した結果、女性の体には急な変化が起こるターニングポイントと、同じ傾向が続くフラットなステージのような時期があることがわかり、この様式は『スパイラルエイジング*』と名付けられています。
対象は16歳~46歳の期間ですが、10代では16歳、17歳、18歳、20代は24歳、25歳、26歳、30代は37歳、38歳、39歳と3つのスパイラルポイント(SP)があると言われています。
*参考:ワコール人間科学研究開発センター「スパイラルエイジング」
URL: https://www.wacoal.jp/hsrc/publication/2000/index.html 2024年11月11日
10代のスパイラルポイントは骨盤の最終的な形が決まり、皮下脂肪の沈着が起こっていわゆる女性らしい体つきにボリュームアップしてきたこれまでの変化にブレーキがかかる時期です。
20代のスパイラルポイントは、大人の女性としてのからだが完成する時期です。この時期が成人後、一番すっきりとサイズダウンしていることが多いと言われています。
続いて妊娠・出産に関係なく、女性がこれまでにない大きな変化を実感するのが、30代のスパイラルポイントです。
この時期に基礎代謝の低下や女性ホルモンの減少をきっかけとしてウエストのくびれがなくなる、上半身が大きくなるなど、体型が急激に変化するとされています。
また、閉経後はさらにエストロゲンの低下が、脂肪分布パターンの変化と関連しており、内臓脂肪の蓄積を引き起こすとされます。
男性は女性のような劇的な性ホルモンの低下は観察されないものの、テストステロンレベルは年齢とともに着実に低下し、腹部脂肪の増加および除脂肪体重の減少を引き起こすことが分かっています。
一見、怖い話をしましたが、体型変化の予防的観点からすると、これらをすべてそのまま受け入れるしかないのかというと、そうではありません。
実は、閉経後のホルモン変化の影響はそれほど大きくなく、食事(エネルギー摂取量)が与える影響のほうがより大きいと科学的に言われています。
また、運動中に脂肪を燃焼する能力も、閉経後でもトレーニングによって向上するため、中高年の女性が積極的に運動を行うのは、十分理にかなっています。
つまり、食事と運動の習慣は、生涯にわたって体型変化に大きな影響を与えることができるのです。
また、40歳以降で痩せ過ぎている場合は老けて見えることにも。
そのため、食事や運動は適度に気にしつつも、どうしても減らずに気なる皮下脂肪がある場合には、部分医療痩身のクールスカルプティングや、脂肪溶解注射(BNLSアルティメット・チンセラプラス)などが良い適応になります。
服を以前のように着てみたいなど、目標を立てて、一緒にゴールを目指して行きましょう。
形成外科・美容外科。杏林大学医学部卒業、日本形成外科学会専門医、サーマクール認定医。古山理事長のDNAを受け継ぎ形成外科医となる。東京医療センター形成外科で経験を積み、手術はもとよりレーザー治療から再生医療までもこなす。特に女性特有の悩みについての治療に精通し、注力している。