国立病院、都立病院などで形成外科医として経験を積み、2020年より自由が丘クリニックで形成外科部長として勤務している古山恵理医師。
約3年間アメリカで生活、現地の美容医療についても学び、2024年4月帰国し診療再開。日本形成外科学会専門医、日本抗加齢医学会専門医。
早いもので12月になりました。綺麗なイルミネーション、空気はひんやり冷たく、街行く人がなんだか嬉しそうに見える、そんな12月は個人的に一番好きな月です。
忙しかった一年を振り返って、ゆっくり過ごす年末も待ち遠しいですね。
さて、冬場に増えるご相談は、ダイエット。太ることの問題は、外見の変化というのも大きいですが、やはり健康面に対しての影響に注意が必要です。
2003年に慶應義塾大学医学部内科学 伊藤裕教授が提唱された「メタボリックドミノ」という言葉をご存じでしょうか。
生活習慣病の成因、進展とその合併症の発症、患者予後に関してをドミノ倒しに見立てたものです。
つまり、過食や運動不足等の良くない生活習慣が、肥満、インスリン抵抗性を引き起こし、これらが共通の原因となって、血圧上昇、耐糖能異常、脂質異常、その先の変化を起こしていくことを示しています。この病態の重積がいわゆる「メタボリックシンドローム」と呼ばれます。
肥満の原因は、内分泌疾患、ホルモン異常、薬剤性など、原因がはっきりあるものもありますが、過食や運動不足、睡眠不足や睡眠の質の低下、生活リズムの乱れ、過剰なストレスなど、生活習慣から来ることも多いです。
そのため、当然のことですが、食事、運動、睡眠を見直すことが何より大事になります。
食事に関しては、肥満だから栄養が足りているというわけではないので要注意です。食事量が単純に多いことももちろんありますが、食事の栄養バランスが悪いために、体がエネルギーを作り出すのに必要な栄養素が不足し、十分なエネルギーが作り出せなくなっている可能性もあります。
エネルギーに変更できない栄養素が脂肪となり、身体に蓄えられてしまうのです。栄養効率を上げるように、ビタミンB群や鉄、タンパク質を意識してとりましょう。場合によってはサプリメントを利用するのも一つです。
さらに単純なことですが、食べる順番も大切です。餅などの糖質を一口目にとってしまうと、急激な血糖値の上昇を招いてしまいます。糖分を取る前に野菜を取ることで、野菜に含まれている食物繊維、特に水溶性食物繊維が、胃腸内をゆっくりと移動し、糖の消化や吸収のスピードを遅らせ、血糖値の急激な上昇を抑えられます。調味料にも糖質が含まれているので、そちらも意識してみてください。
また、よく噛むことは、満腹中枢を刺激するだけでなく、腸内環境を整えることにも有効なため、意識して習慣化してください。
運動は食後30分以内に、早歩きのお散歩を20分以上すると食後の血糖上昇を抑えるため、とても良いと言われています。また、気になる部分だけ痩せたいという方であれば、最近はYouTubeでも楽しく頑張れる運動の動画なども沢山アップされています。
運動が苦手な方、運動してもどうしても脂肪が減りにくくなったと感じる方には、脂肪冷却の医療機器で気になる部位の脂肪細胞自体を減少させるクールスカルプティングや、脂肪溶解注射(BNLSアルティメット・チンセラプラス)もおすすめです。ご興味のある方はぜひご相談ください。
今年も大変お世話になりました。皆様、良い12月をお過ごしください。
形成外科・美容外科。 杏林大学医学部卒業、日本形成外科学会専門医、サーマクール認定医。 古山理事長のDNAを受け継ぎ形成外科医となる。東京医療センター形成外科で経験を積み、手術はもとよりレーザー治療から再生医療までもこなす。特に女性特有の悩みについての治療に精通し、注力している。