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古山恵理医師コラム「ワキ汗の原因と対処法」

美容医療にまつわるコラム解説
2024.05.29
古山恵理医師の美容医療コラム

国立病院、都立病院などで形成外科医として経験を積み、2020年より自由が丘クリニックで形成外科部長として勤務している古山恵理医師
約3年間アメリカで生活、現地の美容医療についても学び、2024年4月帰国し診療再開予定。日本形成外科学会専門医、日本抗加齢医学会専門医。

気になるワキ汗の原因

今年も暑い夏が近づいてきました。夏になると汗が気になる方も多いのではないでしょうか。小さい頃、太陽の下で汗をかき、髪がどんなにぺったりしても気にせず、元気に遊んでいたことを思い出します。

ヒトが汗をかく最大の目的は体温の上昇を防ぐことです。私たちの体の中では筋肉や臓器の活動により、常に熱が作られていますが、汗をかくことで熱が発散されていくため、体温を一定に保てています。

汗腺にはエクリン腺とアポクリン腺という二種類があります。エクリン腺はほぼ全身に分布していて一人当たり200万個から500万個。一方、アポクリン腺は脇の下や陰部など、毛のある部分に多く、100万個程度と言われています。

ワキは、大量の汗が洋服にしみたり、ニオイが気になったりと、悩みの多い場所ですが、汗そのものは本来、無臭です。しかし、アポクリン腺では、管内壁の細胞の一部がちぎれ、細胞の中身自体が汗として分泌されます。そのため、アポクリン腺の汗にはエクリン腺からの汗には含まれない特有の脂質が含まれます。これが皮膚に住む細菌に分解されると、ワキ特有のニオイを放つようになります。

脂質などが細菌に分解され匂いが発生

効果的な対処方法は

ワキ汗の対処法としては下記が挙げられます。

  • ①ワキは汗が乾きづらい場所なので、通気をよくして乾燥させる
  • ②シャワーや入浴を行い清潔に保つ
  • ③制汗剤を使う
  • ④脇汗パッドや吸収の良いインナーを使う
  • ⑤肉やバターなどに含まれる動物性脂肪は、皮脂腺やアポクリン腺のはたらきを活発にするので、摂取量を減らすなど

それでも生活に影響がでるくらいたくさんの汗をかくなら、原発性腋窩多汗症、またはニオイが問題になるのであれば、ワキガと呼ばれる脇臭症の可能性があります。原発性腋窩多汗症は、日本人では10%くらいと言われていますが、特にご家族にその傾向がある方は、可能性が高くなります。また脇臭症は、アポクリン腺からの発汗が思春期以降に活発になるため、気になり始めるのは思春期以降が多いです。

これらの疾患は病院やクリニックで診断、治療が可能です。診察で発汗の程度を測定して診断します。 治療には手術の他、最近ではボツリヌス注射(ワキボトックス)やミラドライ照射といった、手術をしない治療方法も増えてきました。患者さんの症状や状態によって、それぞれのメリット、デメリットを考えた上で、治療方法を選んでいきます。

ワキガの治療法

ボツリヌス注射は、目の病気である眼瞼痙攣治療や美容目的のシワ取り治療にも使われている製剤で、これを脇に注射します。汗を分泌するための神経の働きを弱める作用があるので、汗を抑えることができます。
また、ミラドライは電子レンジと同様のマイクロ波を照射する治療です。手術と同程度の効果が期待できる治療ですので、年々、多くの方が選択されています。手術よりも術後の影響(ダウンタイム)も短いので、おすすめです。

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