国立病院、都立病院などで形成外科医として経験を積み、2020年より自由が丘クリニックで形成外科部長として勤務している古山恵理医師。
約3年間アメリカで生活、現地の美容医療についても学び、2024年4月帰国し診療再開。日本形成外科学会専門医、日本抗加齢医学会専門医。
7月になり、すっかり暑くなってきました。クールビズが始まったのは2005年のことで、今ではすっかり定着したように思います。
薄着になり、何か気になることはありますか?クリニックには、この時期レーザー脱毛のご依頼がとても多くなってきます。
そもそも脱毛には、家で処理をする以外の方法として、クリニック、エステサロン、脱毛サロンなどの選択肢があります。その違いはなんでしょう。
まず、毛の構造の説明です。図の下の窪んだ毛乳頭部分から、毛母細胞という毛の元になる細胞に、栄養素が運ばれることで毛は成長していきます。毛抜きでもワックスでも、この毛乳頭を取り去ることはできず、毛乳頭がある限り毛は生えてきます。
そこでクリニックで行われるのが、医療レーザー脱毛。メラニン(黒い色素)に反応するように集中的に熱を加えることで、毛乳頭・毛母細胞まで破壊します。
ただし、いくら医療の脱毛とはいえ、一度で脱毛を完了することはできません。なぜなら、人間の身体に生えている毛は、一定の期間を過ぎると自然に抜け落ち(退行期、休止期)、しばらくすると新しい毛が生えて成長する(成長期)という、ヘアサイクルを繰り返しています。
このヘアサイクルの成長期にレーザーを当てないと脱毛は効果がないため、脱毛を完了するには、2ヶ月ほど期間をあけて再照射するということが、どうしても何度か必要になります。
一方で、医療機関以外で行われる脱毛ですが、毛乳頭等を“破壊する”行為は医療行為とみなされてしまうため、そのような脱毛方法は法律で禁止されているためできません。
そこで、2001年に脱毛検討会が出した結論として、施術部位の体毛が90%再生すれば“除毛、減毛”と定義されることとなりました。それは一見デメリットのように思えますが、皮膚へのダメージが少なく安心して脱毛できる、自己処置よりもしっかりと綺麗に脱毛できる、というエステ脱毛の良さも十分にあるため、現在でも多くの方がエステ脱毛も選択されています。
脱毛の一般的な注意点、副作用としては、硬毛化があります。背中からうなじ、またはあごからもみあげにかけてのフェイスラインなどで起きやすいことが知られています。
この硬毛化しやすい部位に共通しているのが、産毛が多い部位であることです。産毛は細くてメラニン色素が少ないので、通常の毛よりも反応しにくく、毛根に十分なダメージを与えられず、ムダ毛が逆に刺激され、活性化してしまうということで生じます。
クリニックでの対応としては、さらに強いレーザーで当てて脱毛する、医療針脱毛(ニードル脱毛)をするなどの方法があります。サロンなどで脱毛をしたけれど効果が弱い、硬毛化が起きたなど、気になることがあればクリニックに相談すると良いでしょう。
日焼けをしてしまうとレーザーが当てられてないこともありますので、引き続き、紫外線対策にも注意していきましょう。