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井上真衣医師コラム「汗に関する美容医療。多汗症で悩む人にはボトックスとミラドライがおすすめ」

美容医療にまつわるコラム解説
2024.07.18
井上真衣医師の美容医療コラム

大学病院などで形成外科・美容外科の診療経験を積み、2022年より自由が丘クリニックに勤務している井上真衣医師。二重まぶた、眼瞼下垂、眉毛下切開、婦人科形成などの手術をはじめ、ミラドライなど医療機器による治療を担当している。

1割の人が多汗症の悩みを持つ

今回は汗に関する美容医療についてお話させていただきたいと思います。
汗を出すための組織は汗腺と呼ばれており、主に発汗により体温調節機能を担っています。その他にも皮膚表面の適度な湿度を保ったり、細菌やウイルスから体を守る作用など皮膚が正常な役割を果たすために重要な役割を果たしています。

一方で、頭部、顔面、手掌、足底、腋窩などに温熱や精神的な負荷などで大量の発汗がおこり、日常生活に支障をきたす状態が起きてしまうことがあり、その状態を多汗症と呼びます。

2020年、日本で60969人を対象としたweb上でのアンケート調査が実施されており、多汗症の診断となる方は10・0%(腋窩5・9%、頭部・顔面3・6%、手掌2・9%、足底2・3%)であり、年代別の有病率は20〜49歳が多いという結果が出ております。*

医療機関への受診経験率は4・6 % であり、受診継続率は0・7%といまだに医療機関での治療が継続できていない実態が明らかになっております。

*参考:日本皮膚科学会ガイドライン「原発性局所多汗症診療ガイドライン 2023 年改訂版」160ページ
URL: https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/takansho2023.pdf

多汗症の人の3割が自身の力を発揮できていない

医療機関での治療が継続できていない理由として、市販薬などご自身で対応をしている、多汗症に対応した受診先医療機関が少ないといったことがあるのではと言われております。

市販の衛生用品は、衣類、タオル、わき汗パッド、制汗剤、身体用洗浄料、食品、サプリメントなどに及び、さらに学校生活や仕事への影響をみると、汗のことで欠席はしないものの全般労働障害率は30・52%と自身の力を発揮できない方もある程度いらっしゃるとのことです。

多汗症の治療に関しては、部位により少しずつ異なりますが、塩化アルミニウム製剤を塗布する方法、ボトックス注射、抗コリン剤内服、交感神経ブロックの治療、手術、ミラドライに代表される機械による治療などがあります。

脇の汗にはボトックスも効果的

今回は中でも当院でよく行われている脇の汗に対するボトックス治療、ミラドライの医療について詳しく書かせていただきます。

ボトックス注射は汗を出すスイッチとなるアセチルコリンという神経伝達物質の放出を抑える働きがあり、注射部位の過剰な汗の分泌を抑えることができます。
施術時間は10〜20分程度であり、ダウンタイムはほぼなく(皮下出血がでる場合があります)、効果は数日〜1週間程度で現れ出します。
効果持続期間は3〜6か月程度であるため、気になる季節の前に注射を行うという方法もひとつかなと思います。

ミラドライは1回の治療で8割の汗腺を破壊

根本的な治療は数年前までは手術が主流でしたが、2018年にミラドライという機械での治療が脇の多汗症に対して厚生労働省の承認を受けたことにより治療の革命が起きました。

ミラドライはマイクロ波を汗腺の大部分が存在する層をターゲットに照射でき、皮膚を切ることなく治療が可能となった上、1回の治療で汗腺の70〜80%を破壊すると言われております。

また、術術後に包帯を巻く等の大変さもミラドライはなくなりました。施術時間は2時間程度かかりますが、局所に麻酔の注射を行ってから施術するため、痛みを感じることはほぼありません。

治療直後より効果は認められ、長期間の効果をもたらします。ダウンタイムに関しては術後1週間程度は赤み・腫れがあり、1ヶ月程度は創部の感覚低下を認めます。
その後数か月は創部に硬さが出ますが、徐々に改善します。

汗がゼロになるわけではないため、さらに汗を減らしたい場合にはボトックス注射を併用いただいたり、術後しばらく期間をあけて2回目のミラドライ施術を行うことも可能です。

もし治療をお考えの方や、気になることがある方はぜひお気軽にご相談いただければと思っております。

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井上真衣

形成外科・美容外科。 形成外科専門医。大分大学医学部卒業。大学病院などで形成外科・美容外科の診療経験を積み、2022年より自由が丘クリニックに勤務。

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