日本でボツリヌス製剤が初めて厚労省に承認されてから13年。以来、気軽にシワ改善ができる治療として年々、そのニーズは高まっています。しかし気軽だからこそ、施術する医師においては様々な知識が求められます。
今ではシワ改善の治療として最もポピュラーなボツリヌス製剤治療ですが、“安全・安心”な治療を行う上で、必要な知識やスキルの再確認と、より治療満足度を上げるために何ができるのかを、本フォーラムで改めてディスカッションされました。
2022年8月21日にベルサール六本木にて『ボトックスビスタ®フォーラム2022』が開催され、古山理事長が基調講演演者、総合座長として招かれました。
ボツリヌス製剤「ボトックスビスタ®」は、日本では2009年に65歳未満の眉間の表情シワの治療薬として厚労省に承認されて以来、安全・安心にシワを改善できる治療法として、年々そのニーズは増加しています。
また、2016年には65歳未満の目尻の表情シワの治療にも承認され、その簡便性も相まって、日本はもとより世界的にも治療件数は増えています。そのためボツリヌス製剤による治療を取り入れる医師も増加傾向にあります。
しかし、解剖知識や技術の乏しい医師が治療を行うと、重篤ではありませんが、眉が吊り上がったり瞼が下がったりという結果を招くこともあります。そうなると、ほとんどが薬理作用が切れる約半年間はそのまま、ということになってしまいます。
今回のフォーラムでは、ボツリヌス製剤の歴史から安全な治療を行うために必要なスキルを古山理事長が基調講演で発表し、4名の医師による治療満足度を高めるためのディスカッション、また、未承認薬を使うことによるリスクの講演を専門の弁護士から、さらに中国でのボツリヌス治療の現状などを、現地のクリニック経営者によるリモート講演もありました。
ボツリヌス製剤は、古くから斜視や眼瞼痙攣などの症状改善に使われてきた実績のある製剤です。その後、美容では2002年に眉間の表情シワ治療薬として米国FDA(食品医薬品局)が承認しました。
いずれもボツリヌス製剤を注射することで筋肉をリラックスさせて、症状を改善したりシワを改善することが主な作用です。しかし前述した通り、解剖の知識、正しい技術、承認され適正に管理された安全な製剤による治療を行わないと、予期せぬ結果を招くこともあります。
安全・安心な治療を行うことが美容医療の責務です。そのためには教育や啓蒙が重要になります。このような場において、微力ながら美容医療の発展に協力できれば幸いです。