国立病院、都立病院などで形成外科医として経験を積み、2020年より自由が丘クリニックで形成外科部長として勤務している古山恵理医師。
約3年間アメリカで生活、現地の美容医療についても学び、2024年4月帰国し診療再開。日本形成外科学会専門医、日本抗加齢医学会専門医。
今年も秋がやってきました。厳しい夏をこえ、気がつけばシミが以前より増えたと感じる方も多いのではないでしょうか。実は、秋というのは、レーザーなどの積極的なシミ治療を始めるには最適の季節です。
一番の理由は、紫外線量。日本の紫外線は、4月から9月に1年間のおよそ70~80%の量が降り注ぐと言われており、今からしばらくは紫外線量が低くなるチャンス。もちろんシミのお悩みでクリニックを受診される方は春や真夏にもいらっしゃいますが、レーザー後の色素沈着のリスクを下げるという意味で、秋からが一番、積極的な治療に適した季節と言えます。
さて、シミとは皮膚内で作られる「メラニン」が沈着したものです。紫外線を浴び続けることでできる日光黒子(老人性色素斑)がもっとも一般的ですが、子供の頃からみられるソバカス、ホルモンが関係する肝斑など、一言でシミと言っても種類は様々。
シミ治療(美肌)のポイントは以下の3点です。
1.メラニンの減量
2.表皮の若返り
3.真皮の若返り
家でできるケアとしては以前もこちらでお話しをしたことがありますが、表皮のターンオーバーを改善させアカと一緒にメラニンを肌の外へ排出させること。
また、内服やサプリメントでメラニンの産生を抑えるように内側から整えるのも効果的です。しかし、濃くなってしまったシミにはそれだけでは不十分。
そんなシミに対しては、美容皮膚科で、メラニン排泄を促進する治療(フォトフェイシャル、レーザー)、真皮を鍛えてメラノサイトを安定化させる治療(レーザートーニング、コラーゲンピール〈マッサージピール〉)、またはそれらを組み合わせるなど、様々な治療を受けることができます。
困ったことに、大半の方はシミが組み合わさって存在しています。すると当然、治療法も経過も複雑に。ですので、ご自身であらかじめ治療方法を選んで受診されるのも良いのですが、まずはご相談から受診されるのもいいかと思います。
ガツンと治療したい方もいらっしゃれば、時間がかかっても色素沈着が絶対にでない範囲で治療をしたいという方もいらっしゃいます。つまり、患者さんとクリニック側の治療に対するイメージを、しっかり合わせておけるかがとても大事です。
また医師側としてシミ治療で大事なことは、その方の肌の状態をその都度しっかり見極めること。
最近は、肌の状態を評価できる高性能のカメラを置いているところも多いので、それらを使えば客観的に、経過の確認も可能です。
以前、私が自分の腕の同じような二つのシミにレーザーを当てて、一つはしっかりと保護、一つは保護せず無意識にポリポリと刺激を与えてしまいました。その結果、保護した方はシミがほとんど消え、刺激した方は濃い色素沈着になり、運命が大きく分かれました。このように、その後のホームケアも含めての治療です。
満足できる結果を出すために、クリニックと、2人3脚で治療を進めていくことが大事です。
形成外科・美容外科。 杏林大学医学部卒業、日本形成外科学会専門医、サーマクール認定医。 古山理事長のDNAを受け継ぎ形成外科医となる。東京医療センター形成外科で経験を積み、手術はもとよりレーザー治療から再生医療までもこなす。特に女性特有の悩みについての治療に精通し、注力している。