形成外科に進んだきっかけ
海野
自由が丘クリニック院長就任、おめでとうございます。
秋本先生は北里大学医学部卒業後に北里大学病院形成外科へ入職。相模原病院形成外科、美容外科で部長を勤められ、専門医資格も数多く取得されています。
医師を目指したのはどんなきっかけでしょうか?
秋本
中学、高校時代にバスケットボールをしていて怪我ばかりしてたんです。
そのときに試合を休まなくても良い治療までしてくれた病院の先生に憧れて、医者になろうと思いました。一生懸命にすることで誰かが幸せになれる仕事って素晴らしいなと感じました。
秋本
医学部の学生のときの実習で、内科を回っているときよりも手術室に入ったほうが楽しかったんです。
中でも形成外科は頭のてっぺんからつま先まで目に見えるところ全ての手術を行い、術式は患者さんの顔や体の形や皮膚の硬さ、厚みによってオーダーメイドのように変化し、繊細であるところが魅力で面白いと思いました。形成外科の先生が格好よかった、という理由もありました。
秋本
当時の研修医は現在のような多科を回るスーパーローテートではなかったので、医者1日目から北里大学形成外科でした。
A、B、救急の3つのチームがあって、僕は当時の
中北助教授(現 自由が丘クリニック総院長)がトップのBチームに配属されました。手術のお手伝いで入っていましたが、凄い緊張感でドキドキして。これを将来ずっと続けていくのだと思い、スタートに立った高揚感と不安が入り混じった、なんとも言えない気持ちでした。
海野
その後ずっと形成外科医を続けられて。研究分野と論文について教えてください。
秋本
医師9年目に大学院に進学し、頭蓋顎顔面(首から上)の発生について研究を行いました。
「下垂体隆起部および頭蓋顎顔面発生におけるHes1遺伝子の影響」が学位論文のタイトルです。
形成外科は頭部と顔面を扱うことが多いので、母体の中での頭蓋や顔面の発生を学べたことは形成外科医としてプラスになりました。
また、血管新生をテーマに基礎研究を行いました。再生医療にもつながる研究で、アメリカ形成外科学会のオフィシャルジャーナルに論文を載せることができました。
美容医療との出会い
海野
形成外科全般の治療をされてきて、美容に関わったきっかけは?
秋本
20年以上形成外科医として大学病院、関連病院で働き、救命救急センターにも所属し、外傷や組織の再建手術からまぶたの手術まで幅広く、教科書一冊分の手術ができる形成外科医を目指してきました。専門医資格も複数取得することができました。
その経験の中、新たな試みとして国立病院で初めて美容外科を標榜したんです。怪我の手術の後にシミ取りやボトックス注入を希望する患者さんや、親族の付き添いで来院して待ち時間に美容を受ける方が少なくなくありませんでした。まぶたの手術のあとで保険適用外の美容治療を「してほしい」と希望されるのも、患者さんからある程度信頼されているのだろうと嬉しくて。
そんな経験をして、怪我や病気の治療と美容治療は別のものではなく、一続きにあるのだと感じました。
秋本
実は16年以上前にここでレーザー、ピーリングの治療を担当しておりました。再びご縁があって自由が丘クリニックに戻ってまいりました。
カウンセリングは丁寧に、判断を急かさずじっくりと
海野
先生方は学会などを通じて交流する機会も多いですしね。患者さんへの対応で大切にしていることは何でしょうか?
秋本
診察時のカウンセリングはできる限り丁寧に説明することを心がけています。
判断に迷ってその日に決められない場合は何度かに分けてお話をいたします。自由が丘クリニックは診察にたっぷり時間を取りますので「先生とこんなに話せると思いませんでした」という言葉をよくいただきます。
海野
様々な情報があふれる美容医療の、これからのありかたはどうお考えですか?
秋本
美容医療は治療法が増えて患者さんの選択肢が広がっていますが、膨大な情報がインターネットやSNSで溢れていて何が正しいのかわかりにくく、治療内容よりも医師のキャラクターが重視される側面も出てきています。
そんな中、全ての治療を1人の医師が担当するのではなく、治療内容によってそれぞれのスペシャリストが対応する治療の提供が、より良い結果を生んで患者さんに満足してもらえるのではないかと考えています。
自由が丘クリニックからアカデミックで正しい情報を患者さんへ提供し続けていくことも重要性が増すと思います。(Vol.2に続く)
師ともいえる中北総院長とのコンビで手術を行う秋本医師。