10月22日、虎ノ門ヒルズで行われたシンポジウムは、日本でもおそらく初めての、シンガポールと中継を結んだキャダバー(御遺体)による解剖のレクチャーとヒアルロン酸注入のトレーニングとなりました。安全・安心な注入治療を改めて啓蒙するこの一大シンポジウムは全国から300名ものドクターが来場し、熱気に包まれました。
「注入治療を究めるのなら、解剖を熟知しなければならない」そう言っても過言ではないように、注入治療と解剖学は切っても切れない繋がりにあります。ヒアルロン酸注射や、ボツリヌストキシン(ボトックス注射)といった注入治療は、注射だけでシワやたるみを改善する、とても手軽な手法として大きく普及してきました。
しかし一方で、解剖学の知識が希薄な医師が行うことによる合併症の報告も少なくありません。重要な血管や筋肉、神経等、当然避けなければならない場所もあるので、それをよく理解して治療を行うこと、それが解剖を熟知しなければならないという言葉につながるわけです。
今回のシンポジウムは、注入治療における解剖学の知識を改めて認識してもらうことで、より安心・安全な注入治療を啓蒙するために開催されました。日本ではまず不可能なキャダバー(御遺体)による実際の解剖をシンガポールで行い、それを虎ノ門の会場に中継するという方法で行われました。
基調講演および総合座長は自由が丘クリニックの古山登隆ドクター、シンガポールでの解剖トレーナーも自由が丘クリニックの医師が務め、自由が丘クリニックの医師2人があうんの呼吸で歯切れ良く進行する会場は、手を休めずにメモをとる先生方でまさに熱気に包まれている様子でした。
海外では手術手技の向上のために御遺体を使用した研修(Cadaver Training)が幅広く行われています。しかし日本では法律上なかなか難しい側面があります。
今回はシンガポールでの解剖の様子を東京・虎ノ門ヒルズの会場に中継することで可能となりました。これはおそらく本邦初であり、実験的な試みでもあります。しかし、血管や神経の走行、位置、深さ、個人差による違い等、改めて実際に確認することは、来場されたドクター方からも高い評価を受けました。
またさらに、ヒアルロン酸製剤を注入することで、製剤が安全で的確な場所に入っているか等、詳細に確認することもできます。実験的な試みであると同時に、非常に高いレベルの実践的シンポジウムであったと言えるでしょう。
美容医療の技術革新は日進月歩です。注入製剤も新しいものが次々に発売されています。中には未承認のものはもちろん、安全性も十分に検証されていないものもあると聞きます。
この度のシンポジウムでは、解剖による正しい注入手技は無論、安全性が確認された製剤を使用することにもフォーカスしています。今でこそポピュラーな治療として多くの方が受ける注入治療ですが、知識と技術、そして安全な製剤が三位一体となって初めて、より安全・安心な注入治療を実現することができると言えるでしょう。
古山登隆ドクターをはじめ、自由が丘クリニックもこの様な場には協力を惜しまず活動を続けていきたいと思います。