国立病院、都立病院などで形成外科医として経験を積み、2020年より自由が丘クリニックで形成外科部長として勤務している古山恵理医師。
約3年間アメリカで生活、現地の美容医療についても学び、2024年4月帰国し診療再開。日本形成外科学会専門医、日本抗加齢医学会専門医。
この記事では、たるみの原因、そして特に高周波治療(サーマクール)についてお話ししていきたいと思います。
まず、たるみの原因ですが、たるみは老化で皮膚が伸びる一方、皮膚の下の骨などを含めた組織が減っていくことで、元の位置よりも皮膚が垂れ下がることで生じます。
老化でなぜ皮膚が伸びるのかというと、皮膚の土台とも言える真皮のコラーゲンが加齢で減少してしまうことで、皮膚の張力・弾力が落ちて、表面積が拡大。その結果、重力の影響を受けて皮膚が伸びて生じていくためと考えられています。
つまり、このような原因から生じたたるみを改善させるには、以下の3点の方法が挙げられます。
皮膚を縮めるには、機器による熱収縮が第一選択となります。ウルセラやウルトラセルQリフト、サーマクールなど当院にも複数たるみ治療の機器が備わっておりますが、それぞれの機械には熱の入れられる層の違い、パワーの違いがあるため、使い分けや適応などがあります。
患者さまの状態を見極める必要はありますが、おおまかに言うと、引き締めにはサーマクール、引き上げにはHIFU(ウルセラ)がおすすめです。
サーマクールが使用するのは高周波ですが、高周波とは周波数3k Hz~300GHzの電磁波の総称で、ジュール熱で電気的抵抗部位に熱を発生します。
サーマクールの波長は電子レンジとは異なる波長ですが、イメージ的には電子レンジのように極性を持つ分子の高速振動によって発生する熱を利用した治療になります。
皮膚は比較的抵抗値が高く発熱しやすいため真皮、皮下組織の膠原線維を中心に発熱し、皮膚全体に伝播します。
電子顕微鏡的には、ランダムな膠原線維に修復可能な熱損傷を起こすことで、コラーゲンを生成していきます。
実際の照射では、皮膚表面を冷却保護しながら概ね2~4ミリメートルの深度で加熱。照射面4センチ平方メートルで均一に熱上昇するため、面でデザインしながら収縮させていきます。
ピーク温度は60℃ですが秒単位で照射を繰り返すことで、照射範囲と熱影響の大きなバルク加熱(広域加熱)ができるのも特徴です。
また、皮下組織の垂直線維構造を優位に加熱するため、即時効果が高く直後から変化を実感しやすい点も人気の理由です。
伸展した3次元的に縮まるので即時効果と、コラーゲン産生による効果で概ね2~3ヶ月が効果のピークとなりますが、繰り返して治療することで、老化の進行を抑えることができる治療と言えます。
どうぞ、ご相談ください。
形成外科・美容外科。杏林大学医学部卒業、日本形成外科学会専門医、サーマクール認定医。古山理事長のDNAを受け継ぎ形成外科医となる。東京医療センター形成外科で経験を積み、手術はもとよりレーザー治療から再生医療までもこなす。特に女性特有の悩みについての治療に精通し、注力している。