大学病院などで診療経験を積み、2022年より自由が丘クリニックに勤務している箕輪薫瑠子医師。薄毛治療に関して1万人以上の診療経験があり、主にAGA(男性の薄毛)オンライン診療を担当。また血液検査結果から生活習慣やサプリメントのアドバイスも行っている。
寒い季節になり、頭皮の痒みやフケ、皮脂の増加など頭皮トラブルにお悩みの方も多いのではないでしょうか。
頭皮トラブルといえば男女ともに注目度が高いのが薄毛に関してです。2024年の薄毛に関する意識調査によると、薄毛が気になり出した平均年齢は男性が 38.6 歳、女性は 42.1歳。男性は女性よりも早い段階で薄毛を意識し始める傾向があるという結果*になっています。
最初のケアとして多くの方が市販の頭髪美容液やシャンプーを選択します。ホームケアや美容院でのヘッドスパは衛生環境を整える重要なものですが、直接の原因にアプローチするためには医薬品での治療が必要です。
医薬品に抵抗感がある方も多いと思いますので、今回は医療機関で薄毛治療を始めるベストなタイミングについて、男性型脱毛症をテーマに説明させていただきます。
*リクルート ホットペッパービューティーアカデミー「薄毛に関する意識調査2024」
URL:https://hba.beauty.hotpepper.jp/wp/wp-content/uploads/2024/10/data_usuge20241016.pdf 2024年12月10日
男性型脱毛症はAGA(Andro GeneticAlopecia)とも言われ、その主な原因は男性ホルモンのテストステロンが頭皮に存在する酵素と結びついて変異したジヒドロテストステロン(DHT)と言われています。
このホルモンが脱毛を指示し、額の生え際や頭頂部が少しずつ髪が薄くなっていくのが特徴です。AGAは進行性で約5年経過すると薄毛が目立ってくるので早期対策が大切です。
薄毛症状がなくても遺伝的に素因がある方や30代後半に差し掛かった方にはフィナステリドの内服開始を推奨しています。また、髪のコシやボリュームが落ちてきたと実感している方には、ミノキシジル外用薬・内服薬の追加を推奨しています。
薄毛が気になっていない状態で薬を飲むことに抵抗がある方もいるかと思いますが、40歳を過ぎると寿命を迎える毛根が増え、薬剤の効果が落ちるという報告があります。
40歳を過ぎ、最後の砦として医療機関を受診した頃にはもう薬が効かない…という方が非常に多いので、なるべく早期の治療開始を推奨しています。もちろん医薬品は副作用の可能性もありますので、リスクとベネフィットをきちんとご理解いただいた上で治療方法をお選びいただければと思います。
薬剤治療で効果が出ない場合は、再生医療による「高濃度W-PRP療法」から、ご自身の脂肪から採取した幹細胞を培養し顔面や首などに注射する「自己脂肪由来幹細胞治療【顔面/頭皮注入】」や、特別なニードルを使用した「Choi式自毛植毛」なども行なっていますので、ご興味のある方はぜひ治療を始めてみてください。