下顎骨輪郭形成術

下顎骨輪郭形成術(エラ縮小術、V-シェイプ形成術、おとがい形成術)は、骨削りや骨切り移動術によって下顎骨の過不足を調整し、輪郭を整える手術です。

当院では、患者さまオリジナルの3Dモデルを作製するなど、より美しい仕上がりのための工夫を行っています。

下顎骨輪郭形成術とは

下顎骨は、顔の大きさや印象に影響を及ぼす部位です。その一方で、顔面骨の中では頬骨と並んで、手術により大きさや形を積極的に変えることのできる骨のため、輪郭にお悩みを持つ方の多くが手術を希望されています。

下顎骨の輪郭形成術には大きく分けて、下記の3種類があり、

1.エラ(顎角部)縮小術
2.下顎骨下縁切除術(Vシェイプ形成術)
3.おとがい(顎先)形成術

これらを単独、または組み合わせて行います。すべての手術において、切開は口腔内(口の中)で行うため、外から傷が見えることはありません。

1.エラ(顎角部)縮小術

このような方におすすめ
  • エラの張り出しが気になっている方
  • 顔が四角い方(特にホームベースのようになっている方)
  • 顔(下顔面)を小さくしたい方

■一般的に行われているエラ縮小術の問題点

一般には、張り出しているエラの部分を全層で切り取る手術(図-1a)がよく行われていますが、実際には図に描いたような正確さで骨を切り取ることは困難です。

実際には、直線的にエラを切り取られてしまうことも多く(図-1b)、結果的に自然なエラの輪郭が失われ、多角形の不自然な形になってしまうこともあります(図-1c)。

さらに、エラをこのように大きく切り取った割には、正面から見た輪郭にほとんど変化が見られず、小顔効果が得られにくいのが実情です。

◎ 当院で行っているエラ縮小術  スプリッティングオステクトミー(図-2)

スプリッティングオステクトミー(顎角部外側皮質骨分割切除術)は、前述の「不自然な仕上がり」「症状の不十分な改善」などの問題を解消するために考案された方法で、エラの自然な輪郭を残しつつ、下顎骨の側面の厚みを減らすことでエラの存在感を薄め、なおかつ正面から見て小顔にすることが可能です。

下顎骨は断面で見ると、二層構造になっています。内側には「海綿骨」という軟らかい骨があってこの中を血管や神経が通っており、外側は「皮質骨」という硬い骨で覆われています。

スプリッティングオステクトミーでは、外側にある皮質骨を広範囲に取り除きます。これにより、エラのもっとも張り出した部分は全層で除去されますが、内側にある皮質骨の大半は残るため、エラの自然な輪郭が保たれます。(図-3)


2.下顎骨下縁切除術(Vシェイプ形成術)

このような方におすすめ
下顎骨下縁が水平化している方

横から見たときの下顎骨の傾きが少なく、水平化しているために輪郭が非常に四角くなっている場合には、前述の外側外皮骨を切除するスプリッティングオステクトミーだけでは不十分です。

このようなケースでは、下顎骨側面(下顎枝という)の下方発育が大きく長くなっているため、シャープな小顔(V-シェイプ)に近づけるために、おとがい(※)を除く下顎骨の下縁全長を全層にわたって切除する下顎骨下縁切除術を行います。
※下顎骨の先端部(いわゆるあご先)。くわしくは後述します。

そして、理想的なVシェイプの輪郭に近づくには下顔面の横幅も減量する必要があるので、通常は先に述べたスプリッティングオステクトミーも同時に行います。(図-6)



◎ 【ここが違う!】術前準備では、下顎骨の3Dモデルを作成

術前準備として、まず3次元CT側面画像に顔面の基準線の1つであるフランクフルト平面(FH平面)という線を引き、これに対する下顎骨下縁の傾斜角度(下顎平面角)A、および下顎角部(エラ)自体の角度(下顎角)Bを計測します(図-4)。

下顎平面角Aは28°前後、下顎角は120°前後が標準とされているので、患者様の計測値がこれらと大きく異なる場合には標準に近くなるような手術を計画します。
しかし、画像上で骨切り線を決定しても、口腔内切開から行う実際の手術では下顎骨を図で見ているように側面から直視することは不可能で、予定通りのラインで骨切除するのは至難の業です。

また、下顎骨の中には重要な神経(三叉神経の第3枝で下歯槽神経という)が通っており、下顎骨下縁を勘頼りに切ると、この神経を誤って切断してしまうリスクがあります。

したがって、適切な骨切り線の決定には、術前から神経の走行位置を把握しておく必要があるのです。

そのために我々が行っている術前の準備についてお話します。
まず下顎骨のCTを撮影し、そのデータを元に専門の業者に骨の実体モデル(患者様本人の下顎骨と全く同じ骨格のモデル)を作製します。

通常のモデルでは実際の骨と同じように下歯槽神経は外から見えないのですが、CTのデータを元に神経の走行をモデルの表面に描出することができます。これを用いて神経を損傷しない骨切り線を正確に決定して、モデル上に書き記します(図-5a)。

しかし、モデル上では最適な骨切り線を描けても、実際の手術では骨の側面が見えづらいので、モデルと同じ線を骨の上に正確に描くことができません。

そこでモデルに描いた線に合わせて、骨に装着する型(テンプレート)を術者自身が作製しておき、手術の際にこの型を実際の骨にあてがうことにより予定の骨切り線をはじめて正確に確認できます(図-5b)。あとはテンプレートに沿って慎重に骨切りを行います。

ボトックス注射での咬筋肥大(エラ張り)治療について

エラの張りは骨格だけでなく、咬筋の厚みも原因となっていることがあります。

以前は、エラ縮小術と同時に咬筋を外科的に切除することも行われていましたが、その結果術後筋肉の変形により外見に悪影響を及ぼすことが多発したため、当院ではこのような手術を行っていません。

その代わり、ボトックス注射(表情じわを消す注射療法として広く普及している)により簡単にかつ安全に咬筋の張りを抑えることができますので、ご希望の方はお申し出ください。


3.おとがい形成術

おとがい(頤)とは、下顎骨の先端部(いわゆるあご先)を差し、その長さや突出度合いは顔の印象にかなりの影響を及ぼします。おとがいを骨切り移動することにより、長さや位置を変化させ、バランスのとれた輪郭に調整することができます。

手術によって切り離した骨は、裏側に筋肉を付着させたまま移動するので血行が維持され、吸収・変形することがなく、生涯安定した輪郭が保たれます。

切開は口腔内で、前歯の歯肉の付け根部分です。骨切り後に移動した骨はチタン製のプレートとスクリューで固定します。チタンは金属の一種ですが、生涯体内に入れたままでも問題なく、MRIなどの検査にも影響はありません。

おとがい形成術には、下記の3種類があります。

  • おとがい水平骨切り前進術
  • おとがい高径短縮術
  • おとがい幅短縮術

◎ おとがい水平骨切り前進術

このような方におすすめ
おとがいが後退している方、長さ(高さ)が短い方

水平とは、噛み合わせの平面に対してほぼ平行に骨切りすることを意味します。通常は、3〜5mm前方に移動し、後方に生じる骨の段差を削って整えます(図-7a)。

おとがいの著しい後退で10mm以上の前進が必要な場合には、水平骨切りを2段に行って階段状に前進させることもあります(図-7b)。


◎ おとがい高径短縮術

このような方におすすめ
おとがいが長く尖り過ぎている方

箱形骨切り短縮術(図-8)

おとがいの正中部分を箱形に骨切りし、上部の骨を短縮予定幅で切除した後おとがいの骨を上方に移動する方法です。両外側下縁に残った骨は削って整えます。

この方法の利点は、おとがい神経へのダメージ(後述の合併症の項目を参照)をほとんど回避できること、手技が比較的簡単であることです。

しかし、おとがいの長さ(高さ)を短縮すると同時に前進させたい場合には、箱形骨切り短縮術は適していないので、②の中抜き短縮術を選択します。

中抜き短縮術(図-9)

水平骨切りを2カ所(2段)で行い、その間の骨を抜き取った後、おとがい先端の骨を上方移動して固定する方法です。

①の箱形骨切り短縮術と比較して骨切り線が後方に及ぶので、その際おとがい神経がやや引っ張られやすい(一時的ではあるが術後神経障害が出やすい)、出血や腫れがやや多くなるのが難点ですが、同時におとがいを前進させることもできます。


◎ おとがい幅短縮術

このような方におすすめ
おとがいが平べったく、横幅が広い方

おとがい幅短縮術は上記の適応のほか、おとがいの高径短縮によって幅広感が出ることが懸念される場合に、同時に行うこともあります。

①骨削除

単純におとがいの骨の側面を削る方法です。幅広感が比較的軽度の場合に行います。

②縦抜き幅短縮(図-10)

おとがい正中を縦に幅数ミリで抜き取り、両側の骨を正中に寄せて固定します。縦抜き幅短縮は、前述の中抜き高径短縮と同時に行うこともできます。

術後合併症について
下顎骨の中を下歯槽神経が通っており、おとがい孔という穴から骨の表面に出たところからおとがい神経という名称に変わり、下唇やおとがい部の皮膚に分布しています。
おとがい神経は知覚神経で、損傷を受けると下唇周囲の知覚障害が起こります。
おとがい形成術では術野にこの神経が露出することが避けられません。骨切りは神経を回避・保護しながら慎重に行いますが、その際神経が多少は引っ張られるなど間接的な影響を受けるため、術後ある程度の知覚障害が生じる可能性があります。
知覚障害は一時的でほぼ元通りに回復しますが、完全な回復には数ヶ月から1年程度かかることもあります。

シリコンブロック挿入によるおとがい増量術について

おとがいが小さい、あるいは後退しているのを改善する目的で、骨切り術による前進ではなく骨の上に(前に)シリコンブロックを乗せる手術があります。

この手術は、骨切りに比べて出血や腫れが少なく、負担が軽い方法ですが、シリコンを乗せた所だけが膨らんで不自然な外観になりがちです。またおとがいにシリコンを挿入すると、術後数年でシリコンの圧力により骨が吸収され、骨の中にシリコンが埋まっていくような現象がよく見られます。そうすると元々の骨が凹んで変形してしまうことになるので、このような方法はおすすめできません。

一方、骨切り術は血流の豊かな自身の骨を移動することにより根本的に骨格を変化させるので、吸収や変形などの心配がありません。


下顎骨輪郭形成術に関するよくある質問

Q術後は腫れますか?

Aはい。顎周辺だけでなく、通常は下唇にも腫れが生じます。主な腫れは1〜2週間で引き、腫れが完全に消失して手術の効果が十分に現れるまでには3ヶ月以上かかることもあります。

Q術後の麻痺はありますか?

Aエラ縮小術では起こりませんが、下顎下縁切除術やおとがい形成術の場合には、多少神経が引っ張られるため、術後に下唇のしびれ(知覚低下)を感じることがあります。

これはほとんど一時的なもので、通常1〜3ヶ月程度で回復します。

Q食べ物はいつから食べられますか?

A手術の翌日から可能ですが、刺激の強い香辛料を使ったものや、硬いものは1週間程度避けるのが良いでしょう。

Q下顎骨を削った後に、皮膚がたるむことはありませんか?

A皮膚や筋肉、脂肪には柔軟性があり、術後の骨の形状にあわせてある程度は自然に適合するので、明らかなたるみを生じることはほとんどありません。

ただし、40代以降の方ではたるみが残ることがあり、その場合にはスレッドリフトやフェイスリフトなどのたるみ解消術をご提案します。

Q他院修正も受け付けていますか?

Aはい。他院修正を希望される患者さまも時折来院されます。一度削った骨をさらに削るのは難しく、状態によっては不可能な場合もありますが、なるべくご希望に近づけるよう努めています。


下顎骨輪郭形成術の概要やリスク(副作用・ダウンタイム)など

麻酔全身麻酔
施術の所要時間2〜6時間程度
洗顔・メイク・入浴洗顔やメイク、シャワーは翌日から可能です。入浴は手術の1週間後から可能です。
通院回数5〜6回。1回め診察→2回め手術→退院後は術後2週間までに2〜3回。
入院の有無あり
副作用・
ダウンタイム
・手術操作はすべて口腔内で行うので、外表に傷が残らないのが利点である反面、手術範囲が大変見づらいため、ミリ単位での正確な操作は困難です。したがって微妙な左右差や多少の過不足が生じる可能性があることをご了承ください。
・骨を操作する場所の近くに神経があり、手術の際にはこの神経が引っ張られるため、術後に下唇のしびれ(知覚低下)が起こることがあります。 ・感染(化膿):滅多にないことですが、どのような手術でも細菌感染が起こる可能性があります。
・血腫:術後に出血が起こり、皮膚の下に溜まってしまうことがあります。
・予想以上に効果の実感が得られない、または修正効果が弱い。
注意事項 ・血腫を防ぐため、通常ドレーンという出血を外に排出するためのチューブを置きます。このドレーンは、出血の程度にもよりますが、通常手術の翌日や翌々日に抜去します。
・口の中の切開部分は、体内に吸収される糸で縫合するため、抜糸の必要はありません。ただし、糸が完全に吸収されるまでには1〜2ヶ月ほどかかります。術後2週間以上経っていて、患者さまが希望される場合には抜糸を行います。

料金

施術名 下顎骨輪郭形成術
料金 エラ縮小術(スプリッティングオステクトミー) 1,600,000〜2,200,000円(税別)
下顎下縁骨切除術(V-シェイプ形成) 1,800,000〜2,800,000円(税別)
おとがい形成術 1,300,000〜2,100,000円(税別)
初診料 5,000円(税別)

※術式や組み合わせなど、手術の内容によって料金が異なりますので、カウンセリング時に十分ご相談ください。
※手術日が決定しましたら、内金として予定手術費用の20%または30%(内容によりどちらか)をお支払いいただきます。
※手術日決定後に予約の取り消し及び日程を変更する場合、キャンセル料が発生することがございますので、ご注意ください。
※手術後の投薬(抗生物質・鎮痛剤・胃薬等)、消毒、抜糸等の料金は、上記に含まれます。
※手術前の検査(血液検査、心電図、レントゲン)、麻酔代、入院代は別途費用となります。
※施術の所要時間、術後の経過はあくまでも目安であり、実際には個人差がございますので予めご了承ください。

医療法人社団 喜美会自由が丘クリニック
〒152-0023 
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